演繹的学習と帰納的学習 −これからの数学教育に期待すること− |
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根岸 秀孝 数学教育の会 提示原稿 於 学習院 9/9/2000 |
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ページトップへ | 数学学習の多くは演繹的? 数理理解への導きは、数学それ自体の特質の一つであるように演繹的なのでしょうか? 単純な数理、公式、解の方法を学び(記憶し)、次に来るさらに上位の学習項目へと順次、系統的に進むのが、いわゆる学校数学なのでしょうか? とすれば、どこかで理解につまづきがあったときに、どうすればよいのでしょうか? 前にさかのぼっての再学習が必要なのでしょうか? あるいはそこが躓きのもとになり、数学嫌いにおちいるのでしょうか。 演繹的学習の組み立ては、決められた授業時間内で、決められた学習内容をすべて終了するのに 効率的(教師側にとって)なのでしょうか? “身近な現象、事象を数学学習の対象に” と学習指導要領に・・・・・ このことを単純に受け止めると、統計という数感覚、学習がとくに重要になってくると感ずるのですが。 “世に役立つ数学”という感覚を持つには最適な学習と思うのですが。 教育を終え、実社会で先ず必要なのは、それが科学、技術分野だけではなく、一般的に社会活動で必須なのは統計と、統計的思考、観察力でしょう。 統計というのは帰納的アプローチが常識なのですか? であれば……・。 帰納的思考体験の大事さを授業で 統計数学はいわゆる本流の数学から離れて別物なのでしょうか? ある若手数学者によると、 統計がなかなか学校数学の重要な学習項目にならないのは、“大学入試で扱い難いだけの理由ではなくて、統計そのものが帰納的学問であり、数学者にとっては別物なせいでしょう。” そうなのでしょうか? 実社会のいずれの分野においても、帰納的思考の必要性に疑いの余地はありません。 帰納的アプローチによる学習とは? 要は、生徒たちに“気付き”の機会を出来るだけ用意し、彼ら自らが特性や、規則性、普遍性などに気付く場の設定、そこから発見的に数理のよさ、きれいさに感じ入る機会の重要性でしょう。 どうも、このアプローチが、子供たちとっては、学習の仕方というか、学ぶ態度を育むのでしょう。 自分で気付いたことは“自分事”です。 人から与えられたものとは、はっきりと違った刷り込みになるでしょう。 世界各国で盛んに起きているテクノロジー活用の意義をここに感じます。 テクノロジー が故の視覚化で気付きの場をフルに活用し、“もし、こうだったらどうなるか?”との想いを試してみる、試行錯誤、What if? からの学習。 “解の公式” って・・・・ 1次関数の連立方程式、2次関数の解の公式、3次関数と、それぞれ公式、解を得る計算手順というやつを覚えておかないと数学のテストで点が取れないでしょう。 でも2次関数の解の公式は3次関数になると使えない。“先ずはそれぞれ覚えて、それを使って問題を解く。” これぞ数学学習の秘訣??? Frank Demana (OSU 名誉教授) がT^3Japan の会儀で講演をしました。 内容は、テクノジーを使った“気付き”の場設定を示しました。 小学校でやる四則演算の計算順序の理解への導入です。 日本の子供たちは 加算、減算の前に掛算、除算をやる決まりは知っています。 何もそれを自分で気付かずともよいのでしょう。 おぼえていれば。 ですが、 こうした単純な数理のときから、どのように理解しておくべきかを、自分の気付きを基として身につける大事さ、学習の仕方を示しました。 自らの発見を大事にする学習です。 帰納的アプローチでしょう。 帰納的 >> 演繹的、演繹的 >> 帰納的 そして、この繰り返し 学習の場面、場面で、学習内容によって、生徒たちの質問によって、いろいろなアプローチがあるでしょう。 何が適しているかの判断と、場設定への工夫。 これが教師冥利につきる面白さなのでしょう。 出来るだけ多くの先生方にこの面白味を味わってもらえれば、その授業は本当に生徒たちにとって価値ある学習になるのではないでしょうか。 理解していない生徒を対象とした授業を、数理をすでに理解した先生が導くわけです。 理解している教師にとってみれば、できるだけ早く次に進むことが快適です。 生徒にとっては、与えられた理論を咀嚼するよりは、自分で見つけたり、仲間の意見に便乗しながらの進み方のほうが、 ずっと素直な進捗ではないでしょうか。 活動的学習といえる授業でしょう。 ここに、テクノロジー活用の意義があるようです。 ICME9 でも感じたことですが・・・・・ 世界各国の数学教育改革には相当な度合いで共通点があるようです。 ・ 数学の大切さを、社会が、教育界が大事にしている。 ・ 身近な現象を対象に、実際のデータを活用した数学学習。 ・ 数学の考えかたの良さ、発見的学習、活動的学習、創造性を育む学習。 ・ テクノロジーの活用の必要性。 (NCTM Standardsでは 6つのPrinciple の一つとして掲げている。 Technology is essential in teaching and learning mathematics; it influences the mathematics that is taught and enhances students’ learning.) ・ より質の高い教育を実践していくためには、ひとクラスの適切な生徒数。 ・ 新しい授業展開への教師研修プログラムの大事さ。 このうち、我が国の数学教育界では、どの点が実践されているのでしょうか? 9/09/2000 飯高教授 数学教育の会 提示原稿 (HN) |
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